外壁塗装は、建物の外壁に塗装を施すことで美しい外観を長く保持するだけでなく、建物内分の劣化を防ぐ役割もあります。
しかし、いかにしっかりと塗装をおこなっていても、5年、10年と経過すれば少しずつ色褪せてしまい、どこか古びた印象になってしまいます。
そのため、定期的な塗り替えが必要になるのですが、色褪せとはそもそもどうして起こるのでしょうか。今回は、外壁塗装の色褪せ、その原因と対処法について解説します。
ただの「色褪せ」と侮るなかれ！「色褪せ」はやがては「劣化」につながる
外壁塗装は、ただ単に「外面の見た目をきれいにする」ためだけの施工ではありません。外壁塗装は、ただ見た目の美しさをデザインするためだけではなく、「外壁そのものの寿命を延ばし、より耐久性を高める」施工であるといっても過言ではないのです。
そして、外壁の耐久性を高めることが「建物全体の耐久性を高める」ことにつながっていきます。重要な役割を担う外壁塗装ですから、その塗装が「色褪せて」しまったとき、それは危険な状態といえます。
「色褪せ」というのは「施工直後の状態と比べると色が薄くなっている状態」を指し、一般的な定義とあまり変わりません。しかし、外壁塗装における「色褪せ」は単なる色褪せではないのです。
なぜなら、色が褪せるというのは、外壁塗装の防水性が落ちていることに他ならないからです。
塗膜は塗料を何重にも塗り重ねることで強化されていくもので、優れた耐久性・防水性の象徴ともいえます。そうした塗膜の効力が弱まると、日々雨や湿気に晒されている外壁塗装の表面の塗膜がダメージを受け、徐々に劣化していきます。
つまり、色褪せは外壁塗装そのものの「劣化」のサインなのです。色褪せを放置していると、雨水などが建物内部へ侵入してしまい、内部の構造の腐食を招き、建物自体の劣化につながってしまいます。
色褪せの原因①：紫外線によるダメージ
まず、外壁は常に外気に晒されており、場所によっては常に日光を浴びることになります。日光には紫外線が含まれていますが、紫外線は人体にとって有害なだけでなく、こうした外壁塗装にとってもダメージになる存在です。
外壁塗装で塗布されている塗料には、顔料が含まれています。顔料は塗料の色を構成するものですが、基本的にはあらゆる物質と同じように顔料もまた「原子が結合している」状態です。
かんたんに説明すると、紫外線を受けることによって、この顔料に含まれる原子の結びつきが弱まっていきます。そして、一定の強いダメージを受けたとき、顔料に含まれる原子の結合状態は破壊され、その結果として外壁塗装が色褪せてしまうのです。
色褪せの原因②：塗料や外壁材の化学変化
色褪せのもう一つの原因としてよく挙げられるのは、塗料や外壁材そのものの化学変化によって、本来とは違う物質に変化してしまうことです。
とくに金属製の外壁材を用いている場合は、酸性雨や潮風などの影響を受けてより脆い物質へと変化してしまい、外壁に穴があくことがあります。そして、その穴から雨水などの水分の侵入を許し、内部の腐食につながってしまうなど、あらゆる危険が潜んでいるのです。
色褪せへの対処法とは？主な手段は「定期的な塗り替え」と「色褪せしにくい塗料を選ぶこと」
それでは、この「色褪せ」に対してはどのように対処すればいいのでしょうか。代表的な対処法は2つあります。それは、「定期的な塗り替え」と「色褪せしにくい塗料を選ぶこと」です。
「定期的な塗り替え」は言葉のとおりの意味です。
外壁塗装が色褪せてしまったら、塗り替えの時期と判断して問題ありません。塗料の寿命というのは種類によっても違いますし、日光の当たり具合や周辺環境の違いによっても異なります。しかし、ざっくりと外壁塗装から10年～15年経っている建物は、色褪せがはじまっているとみていいでしょう。
「色褪せしにくい塗料を選ぶこと」も有効な手段です。これには、化学的に色褪せしにくい「耐候性の高い塗料」と、「そもそも色褪せしにくい色の塗料」があります。
前者は耐候性の高い塗料にはフッ素樹脂系の塗料で、後者は光を当てると塗膜を破壊してしまう「ラジカル」という物質の発生を制限したものです。
また、色褪せしにくい色というのは、「白」か「黒」の2色です。白い顔料の原料となる酸化チタンは紫外線への耐性が強く、ラジカルの発生を食い止める機能を持っているものもあります。黒い顔料として用いられるカーボンブラックは無機顔料で、化学反応による色褪せが起きにくく、チタン複合のものは遮熱性も高いでしょう。
まとめ
今回は、外壁塗装の色褪せ、その原因と対処法について解説しました。
色褪せはただ見た目を損なうだけでなく、雨漏りなどのトラブルが起こる前兆でもあります。住宅に色褪せの兆候がみられたら、早めの対処をおすすめします。
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